3月3日(土)高知小津高校で、文部科学省の向後秀明教科調査官を講師に向かえ、県下の中高大英語科教員48名の参加のもと標記の研修会が開催されました。
研修会の前半は、平成25年度から年次進行で実施される新しい学習指導要領に対応した授業、評価方法等の改善の取組について、高知工業高校、高知丸の内高校、高知小津高校の今年度の取組の発表が行われ、3校とも英語科教員全員が共通理解をもち、非常に前向きに授業改善に取り組んでいることがよくわかった。今回の発表を通じて、各校の課題にどう対処するかのヒントが得られたのではないかと思う。ご苦労様でした。なお発表の概要は以下。
(1)高知工業高校(濱田先生)
内容:instructionはなるべく英語で行う。生徒が日本語で質問しても教員は英語で応答する。
成果:積極的に英語を使う生徒が増えた。(ALTとのコミュニケーション等)
課題:日本語で解説している文法学習の改善
(2)高知丸の内高校(清本先生)
内容:インテイクに重点を置く(音読・暗写)
成果:授業が活発になった。居眠りする生徒がいなくなった。苦手意識が減少。
課題:音読・暗写を、実践で生かされる力にどう結びつけるか。
(3)高知小津高校(山本先生)
内容:「コミュニケーション英語」の趣旨を生かしたOCⅠの改善
成果:模試成績の向上、英語検定合格者の増加
課題:家庭学習、正しい発音でのアウトプット等。
3校の発表後、向後教科調査官から簡単な助言があった。ここでは、趣旨を変えない程度にparaphraseしたものを紹介する。
①どの学校にも学力差はある。生徒を「教えあえる集団」に高めることが必要。
②外国語学習=曖昧さ(ambiguity)に耐える行為、であることを生徒に伝えてほしい。
③「音読・暗写」はいわば練習(筋トレ)。生徒がコミュニケーションの実践(試合)を経験できるように仕組むことが大切。「英語は実技である」ならば、どのような「実技」ができればいいのか。
④「何とかしようとする姿勢」を生徒に育んでほしい。
⑤「大切なこと」こそ教員は英語で伝えるべき。どうでもいい事に生徒は耳を傾けない。
⑥ある程度の許容範囲があるが、正しい発音が身に付くように指導をしてほしい。
研修会の後半は、向後秀明教科調査官により、「新学習指導要領の導入に際して教員がすべきこと」と題した講演が行われた。趣旨は以下。
①新学習指導要領の理念の確認。
②生涯学習の観点で、英語教育の変革が求められていること。
③他教科との垣根をとった指導を進めること。
④生徒も教員も外部資格試験等の積極的に活用すること。
⑤授業のフォーマット化等、具体的な言語活動や授業作りへの提案。
⑥学校や英語教員は、チームとして授業に取り組むこと。
なお、研修会の中盤では、高等学校課が平成24年度から始める英語教育関係の取組の概要を説明する時間があった。